【NEW】コロナ禍を振り返る② つづき、、、
やっと発売に漕ぎつけた「甘酒」と「焼酎」が、、、
まずは焼酎の製造の話から。
酒粕から作る「粕取り焼酎」を造ろうと計画し、2019年夏に「真空減圧蒸留機」なるものを導入しました。そして、2020年のお正月ごろから酒粕の蒸留を始め、少しずつ在庫が。どんなラベルで発売しようか、いくらにしようか、そんな矢先に4月の緊急事態宣言の発令、そして、お酒の出荷が止まってしまいました。
こんな状況で焼酎を発売しても、誰も買ってくれないよね、と考えていました。
(写真)真空減圧蒸留機に酒粕を入れて、粕取り焼酎を造ります。
ところが、世の中はマスクや手指消毒用のアルコールが不足する緊急事態でもありました。
非常時です、酒蔵として出来ることはないのか、日本酒業界では「消毒用のアルコール」を販売しようという話が4月の下旬ごろから始まりました。日本酒業界にとって、高濃度のアルコール、つまり消毒に使えるアルコールとは、①本醸造や吟醸酒・普通酒の製造目的で購入した醸造アルコール(約95%)にちょっと水を加えたもの、または、②何らかのお酒を蒸留して造るジンやウォッカといったスピリッツのこと、この2つでした。
泉橋酒造でも世の中に少しでもお役に立ちたい、という思いから、醸造アルコールの販売メーカーに問い合わせましたが、普段から醸造アルコールを買っていない酒造会社には販売出来ないと。うちは造るお酒は全部純米酒なので醸造アルコールは購入していなかった。
そこで②にあたるスピリッツの製造を始めるしかない!と。
そして、その原料のアルコールには、リリース予定の「焼酎」を使おう!。せっかく造った焼酎だが今は非常時なので仕方がない、また、地元で栽培したコメがお酒になり、酒粕になり、そして、消毒用アルコールになり人様のお役に立てるのは最高だ。
そんな感じでした。
また、当時通常であれば3ヶ月ほど時間がかかる「スピリッツの製造免許」は税務署から2日でおりたり、消毒用アルコールの濃度が消防法の規制を受けない60度まで下がったりと、我々日本酒メーカーが消毒用アルコールを発売しやすい方向へ。日本国もやるときはやるもんだと感心もしました。
4月末と言えば、ちょうど日本酒の造りが終わるころ、やっと出来た焼酎を更に何度も何度も蒸留し、「手指消毒用の高濃度アルコール」の生産を2ヶ月ほど続けました。
そうして出来たアルコールは、海老名市役所さんから市内の医療機関へ配られました。
また市内の小中学校では放課後先生方が生徒さん達の机や椅子をアルコール消毒するためのアルコールが足りない、という話も聞き、教育委員会さんへも寄贈もさせて頂きました。(そのブログはココです)
焼酎の製造を始めていて良かった、そう心から今も思っています。
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次に「甘酒」の話です。
麹でつくるノンアルコールの甘酒を作ろう!と2018年から準備していました。2019年の春に製造設備の設置、試験製造を繰り返し、2020年2月ごろに試験販売をスタート。そして、正式に販売開始をしようとしたら、この甘酒のリリースもコロナとぶつかりました。しかしこちらは、ノンアルコール、大人もお子様もそして体調のすぐれない方でも楽しんで頂けるものでした。
甘酒は、いままで日本酒とは縁遠いお店やお客様からも引き合いがありました。
この甘酒の販売開始にあたり、こんな嬉しいこともありました。
それは、毎年さがみ酒米研究会(酒米農家さんの栽培会)では夏に県外農業研修に行っていました。しかしこの時はコロナで研修は行わないことが決まった時の事。
泉橋もコロナで売上が減っていて大変だろうから、甘酒を泉橋酒造から購入し市役所に寄贈しようと。
写真は左から、内野海老名市長さん、池上さん(同研究会会長)、神森さん(研究会会員農家)と弊社社長(一番左)です。
https://izumibashi.com/journal/0604amazakekizo/
2018年当時、社内で新たに甘酒の製造を始める!と計画をしたころは、なかなか社内がまとまらない時もありました。
がしかし、ノンアルコールの甘酒だからこそ、福祉移設や幼稚園・保育園でも喜んでもらえる、日本酒を寄贈するのとはまた違う喜びがあるのだ、やって良かったとしみじみ思います。
しかし、緊急事態宣言下の4月からの売上はひどいものでした。いろいろと足掻いても前年同月の半分も行かない状態でした。こんな状態が何か月も続くことなど絶対に考えたくない、そんな感じでした。